曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

宿題のビデオ。

私は視聴覚の係をしているのだが、
県が指定したビデオを2本見て、内容と細かい分数をレポートにして提出しなければならなくなった。
ビデオを教材に使いたい教員の目安にするものだと思う。
まずテレビを見ることからして嫌いなのでかなり気の重い仕事であったが、
夕べ意を決して2本とも見た。

1本は30分間図解と解説が続く苦痛なビデオだった。
さてもう1本は、白血病の男性のドキュメントだった。
「生きるよろこび―命のボランティア―」というタイトルである。
泣いてしまった。

白血病と診断された27歳の白州豊さんが骨髄移植を受けて新たな人生を歩き出すというもの。
骨髄ドナー登録する側の苦悩も描かれている。
友人を白血病で失った若い女性は、家族から猛反対されながらもドナー登録を決意する。
友人を救うことはもうできないけれど、誰かの役に立ちたい、と彼女は言う。
ドナーは全身麻酔をして骨髄を提供する。
自分の骨髄が誰の役に立つのかはわからない。
ドナー登録とは本当の「命のボランティア」なのだ。

もうこのあたりでぐっときてしまった。
無償の行為。
どんなに醜い事件ばかりが報道されようと、
こういう人々が何万人も存在することを思うと。

ドナーがみつかり、白洲さんは骨髄移植を受けることになる。
無菌室に入って一ヶ月、徐々に弱っていく白州さん。
移植の前日には放射線照射によって自身の白血球はすべて破壊された。
移植当日、ドナーの造血幹細胞が、点滴によって彼の無防備な血液に届けられる。
彼の笑顔に、明らかに人間としての力がよみがえってくる。
点滴から落ちる命のしずく、
それを受け取る白州さんの笑顔。
「体が、わかるんだ。」と、彼の母親がつぶやいた。
私も全く同じ言葉を思い浮かべていた。
無菌室のガラス越しに見守っていた彼の家族と友人はみな泣いていた。
私自身もなぜ涙が出るのか不思議なのに、画面の誰もがみんな、彼を見つめて泣いているのだった。

こういう泣き方はいいなあ。
いいビデオを見てしまった。
宿題でないとビデオも見ないから、いい宿題を出してもらったと思う。