曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

許せない自分。

ずっと昔の話だ。
担任していたクラスに不登校の生徒がいて、
卒業認定会議でどうか卒業させてほしいと訴え、
長い討議の末めでたく彼女の卒業は認定された。
卒業してすぐクラス会があった。
そこで彼女は私の目の前で煙草に火をつけ、
「先生ごめん、私ずっと、(煙草を)吸いよったんよ。」と言って煙を吐き出した。
私はヘラヘラ笑っていた。
今でもその時の自分を思い返すと情けない。
情けなくて腹が立って許せない。

大人気ないと思うだろうか、
私はそれから4、5年後、またそのクラスの同窓会に呼ばれた時に、行かなかった。
命懸けで3年間教えてきた学年だった。
戦友のような生徒もいた。
けれども私は二度とそのクラスの同窓会には出ない。

今日、国立大学に合格した生徒たちがその報告に職員室に現われた。
私は自分の持てる語彙をあるだけ使って褒めてやる。
たとえ彼らの一番褒められたいのが私にではなかったとしても、
祝いの思いと言葉の限りをあげることにしている。
けれどもその子は国語の時間の漢字テストはカンニングをしていたなどと冗談の続きのように言う。
そんなことをするべきではなく、そんなことは言うべきではない。
私はヘラヘラ笑うことはできない。
私は機嫌を悪くする。
おめでたい、聞かなかったことにしたい、そんな感情は私には腹が立つほどあり余るのだ、
けれども私は許さない、
そう思おうとする私を。
いつも機嫌よく笑っているのが大人ではない。
私はあの頃よりもましな自分でいたいからこそ笑わない。
覚えておけ。私は決して笑わない。