授業で岩井克人の「マルジャーナの知恵」をやっている。
資本主義についてみんなのよく知るマルジャーナをきっかけに理解しよう、
という流れの評論のはずなのだが、
みんな肝心のマルジャーナを知らない。
モルジアナである。
「アリババと四十人の盗賊」のあのアリババの賢い女奴隷である。
今の生徒たちはほぼアリババを知らないのですよ。
「誰か『アリババと四十人の盗賊』のあらすじを言える人は?」
「ハイ、それは、アリババというアリの女王がいて、」
「座りなさい。他は?」
「ハイ、先生、彼は間違っています。実はアリババとは(くだらなさすぎて忘れた)、」
「座りなさい。」
「ハイ、先生、彼も間違っています。本当のアリババは(同)」
(黙って見つめていると座りました。)
普段の授業態度はおおむね良好だが、
まあ教員の布団の中にバッタを仕込んだ(夏目漱石『坊ちゃん』より)者どもの末裔たちなのでこんな日もあるか。
と、
「先生、私知っているかもしれません。」
真面目な女生徒の声。
「おお、どうぞ。」
「それは主人公が崖に行く話では?」
「崖?(洞窟の前の岩のことかな?それが崖の前にあったんだったっけか?)」
「ハイ、その崖に宝石と肉が落ちて来ませんでしたか?」
「ああ、宝石、え?肉?」
「そこにハゲタカが舞い降りて来て、」
「・・・『シンドバッドの冒険』かもしれませんね・・・。」
(悪気がないだけに彼女の発言が一番破壊力あった。)
他クラスでも同じような状況で、
「でも呪文だけは知ってますよね?ではみなさんご一緒に、せーの、」
「アブラカタブラ・・・」
ちがーう!!
同僚H先生も生徒たちが「アリババ」を知らないことに驚いていて、
「アリババは四十人の盗賊の首領です。」
ちがーう!!
「アリババは四十人の海賊の首領です。」
ちがーう!!!
というようなことがあったと話していた。
何かの評論の授業でマクベスの一人芝居をやることになってしまった話をここに書いたこともあったが、
今回も結局アリババの一人芝居を(簡単に)やるハメに。
終わったところで、
「マルジャーナが有能すぎて!!」
と生徒たちは今初めて知った事実に驚いて騒いでいたことでした。
ああ、疲れました。(資本主義は遠い。)