マスクを外す生徒もチラホラ現れてきたが、
やはり高校生の素顔というのは時にはっとするほど美しい。
先日職員室で見覚えのない美しい女生徒がまっすぐにこちらに歩いて来たかと思うとなんと私に話しかけてきた。
話の内容から2年前に課題研究で教えた生徒とわかったがこんな顔をしていましたか。
課題研究は「洋画」について。
「先生、東温市で『午前十時の映画祭』というのをやっていて6月は『大脱走』を上映するそうですよ。」
「『大脱走』?」
「ハイ、先生のお勧めの映画一覧にあった、」
「いえ、スティーブ・マックィーン、です。」
「スティーブ・マックィーンの『大脱走』を、私が推薦していた?」
「ハイ、先生が配ってくださったプリントに。」
「……。」
「……。」
「…たぶん私、あなたが去った後に何か思い出すんでしょうね。」
「だと思います。うふふ。」
愛想笑いをして去って行った。
結局彼女が去った後も私は何も思い出さず、
つまり私は「大脱走」を観ていなかった。
(と言うのもそれがきっかけで一昨日の晩観たんです。感動。初見でした。)
因みに私がプリントに書いていたのはたぶん「暴力脱獄」、
それはポールニューマンがゆで卵を五十個食べるシーンが有名な映画です。(「ショーシャンクの空に」に影響を与えていると思われる。)
それにしても彼女はあの若さで「ポール・ニューマン」も「スティーブ・マックィーン」も私が紹介する前から知っていて、
彼女の研究対象は「ブロークバックマウンテン」だったんだから(もちろん推薦していません)、
もうこわいものなしだと思いますね。