ここにも書いた記憶があるが、
私が赴任して1,2年経った頃、
ウチの部員たちが予餞会の舞台班に携わるようになった。
最初の年、
演劇部員はまずメンバーたちから脚本を頼まれたのだと言って、
私は「そんな危険なこと引き受けるな」と忠告したのだが聞かなかった。
彼女らはリーダーにも名前を連ねず、
あれほどうまいのにキャストになることもなく、
脚本を書き音響照明演出と裏方を務め上げて舞台を成功させたのだった。
そのうち数年すると部員たちはリーダー(舞台班班長)に推されるようになった。
それでもうかれこれ10年ほどの間、
舞台班班長は演劇部員になったのだ。
女子部員の時も男子部員の時もあった。
暗黙の了解か、
リーダーはキャストにはならず裏方を仕切った。
いやリーダーを筆頭に演劇部員たちは全員全く表に出ることなく、
毎年脚本から裏方全般を支えてきたのだ。
本当に偉いなと思ったし(気が知れないなとも思ったが)、
だから毎年請われて脚本から前日まで、
私は(大事なところだけだが)手を貸してやってきたのだ。
それが今年、
2年生部員が、
今年は予餞会よりもその時期の演劇部の舞台を優先したいと言って来た。
予餞会からは手を引くということだ。
そしてその気持ちが、
私にもわからんでもないのである。
昨年度の予餞会、
舞台班班長は本当に久しぶりに演劇部員ではなかったが、
本番直前まで病欠だった彼女の代わりに、
班長代理として主役代役として(今回は班長が主役も兼ねていた)走り回って苦労したのはやはりウチの部長だったし、
脚本から始まって演劇部員の献身がなければあの舞台はもちろんあそこまでにはならなかったわけである。
さてあれほど貢献したあの者たちは、
キャストにも班長にもなっちゃいけなかったんですかい。
もう少し尊重されていさえすれば、
後輩たちもまたやっていこうと思えたのではないか。
演劇部が手を引くとなると、
部員に請われて手伝ってきた予餞会舞台班の舞台創りは、
本来まったく私の仕事でもないのだし(今や非常勤だしね)、
昨年度「これが最後ですからね!」と言いながら手伝ったわけなので、
今年こそ手を引くことになるのかなと悩みながらも思っているのだ。