外は雪のちらつく夜の体育館。
予餞会練習。
「生徒たち2,30人の前に先生がやって来た」という設定のシーン。
さて先生役が「ハーイエブリワン!」と現れたはいいけど、
彼女は奥にいる生徒たちに話しかけるためにどうしても後ろを向いてしまうのだった。
幸い群衆生徒はカマボコ状に並んでいて両端の生徒は前の方にいるから、
「前の方の両端生徒に話しかけるテイでやると前向けるからね。」とステージ下から指図するが、
今ひとつ理解されない上に、
階段の取り外されたステージは私の胸より上にある。
「ああ、やってみせてあげたいけど私は上に上がれない。」
「あ、私行けます。」とは舞台班班長(総元締め)のT。
(『きょうは塾に行くふりをして』のヒトミ、『世界の終わりともう一つ』のレイカである。)
ダン、と床を蹴ってステージによじ登ると、
「ハーイエブリワン!」と言いながら上手より現れて両端生徒に目をやりながら実に当たり前に体を開いて前を向いた。
「お~。」
「なるほど~。」
何が素晴らしいって、
私の言う演技内容を瞬時に理解して私の代わりに表現してみせるその技術と、
まあ、
ステージによじ登れる筋力ですかね。