冬の日も暮れた6時半に体育館に入る。
ちょうどバレー部がネットを片付けているところで、
舞台と舞台前フロアではすでに予餞会舞台班のメンバーがそれぞれの準備を始めている。
やっとここまで辿り着いた。
もともと今年は舞台の進捗状況が遅いなあと思っていたのだが、
その上に班長兼主役の女子が、模試の後日受験、学級閉鎖、インフルエンザ罹患、と立て続けに続いために本番3日前まで出て来れず、
その間副班長であるわが部部長Mがてんてこまいして代理と代役を務め、
主役が戻って来た入れ替わりには他のキャストがインフルエンザ、また直前にはエキストラの多くを担っていた別のクラスが学級閉鎖、と悪条件が続いた。
私としてはせめて例年並みの舞台になるよう例年より少し多く関わってきたわけなのだった。
フロアの隅で主役の男子二人が衣装の野球ユニフォームを着てエアキャッチボールをしている。
舞台の上では大道具を背景にエキストラが立ち位置を確かめている。
その本番前の空気が、
正しく大きな舞台を前にした緊張と華やぎで、
私はフロアの中心あたりから、
もしかしたら成功するのかもしれないなと思いながらそれを見ていた。