曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

とある金曜日、演劇部の休憩時間。

「先生、じゃあ私が今から役に立つ裏技を紹介します!」
部活の休憩時間、いきなりSが挙手して説明を始めた。
「バットに頭つけて回ったら、目が回ってまっすぐ歩けないじゃないですか!」
「はあ。」
「それがなんと、こうやって、両方の耳をぎゅーって思いっきし引っ張ったら、まっすぐ歩けるんです!!」

バットに頭つけて回らなけりゃすむことだと私は思ったが、
何分周りは女子高生ばかりなので、
「じゃ、やってみます!」
と、いずれそうことになって、三人前に躍り出るや、バット代わりのホーキにおでこを当てて一斉にぐるぐる回り始めた。
「はーち、きゅー、じゅー!」
回り終わった三人のうち、一人はヨレヨレになった。
しかし両耳を思いっきり引っ張った残る二人、もんのすごい張り詰めた顔をして猛スピードでずんずんまっすぐ歩いている!
その顔があんまり必死でかわいらしいので、みんな床に崩れ落ちて大爆笑。
「歩けた歩けた。」
「まっすぐ歩けた。」
「なんか耳引っ張ったら気持ち悪いのも治ったな。」

私はなるべく長い時間をこの子たちと過ごそう。
出来上がった芝居よりも、一緒に芝居を創る時間の方が大切なのかもしれない。