曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

今日のように。

何年前になるだろう、
愛大病院で首の骨を広げる手術をして、
それが成功してだんだんと元気になっていった、
はずなのに、
数年でまた調子がおかしくなってきたので再び受診したところ、
MRIの白い影を「サルコイドーシス」というものかもしれない、と医者から言われた、とあの人が言った。
 
「サルコイドーシスだったらどうなるの?」と私が聞くと、
「薬で長い治療が必要らしい。」
 
多分サルコイドーシスじゃないよ、と思うことにしたまたそのしばらく後、
それは「サルコイドーシス」であるか「腫瘍」であるかのどちらかである、と医者から言われた、とまたあの人が言った。
 
「腫瘍だったらどうなるの?」と私が聞くと、
「悪性なら数か月、良性なら5年から10年で死ぬらしい。」
 
多分サルコイドーシスだよ、と思うことにしたまたそのしばらく後、
帰宅して買い物袋を玄関に置き受診の結果がどうだったかを聞くと、
「おかえり。『サル』じゃなかったよ。」、とあの人は言った。
 
「え、じゃ『腫瘍』なの?」
「うん。」
「ええ?」
「残念だったねえ。」
私はその時よほど長くええー、と言って玄関に座り込んだ。
 
自分でも神経のどこかが欠落していると思う、とよくあの人は言った。
病気のことはほとんど考えずに暮らしている、とよくあの人は言った。
まだ体も動いて(その頃はまだ松山の愛大病院まで一人で車を運転して行っていたのだ!)毎日全然明るくて、
休職はしていたけれど私まで病気のことを忘れるようなそんな数年があった。
けれども、
いつか「この人と暮らしたことがあった」と思い返す日が来るのだ、とふいに思った瞬間があった。