曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

たくさんのものを私にくれる。私には何ができるだろうか。

あんまり男子の歌とギターとハーモニカがうまいので、
じゃあ明日は1、2年生の前でミニコンサートをやろうかということになって、
今日は女子を帰した後で少し練習、
まあもう一日練習した方がいんじゃねってことになって明後日に延期することにした。
帰りは教員が鍵を締めなければならないんだけど、
いつも一人くらいまだ中にいるのに気づかずに鍵を締めそうになる。
最後に電気を消してくれる「いいヤツ」を閉じ込めそうになるわけだ。
今日はTマが消してくれた。
「Tマは閉じ込めないな。うるさいからいるのわかるもん。」
と言いながら鍵を締める。
「ずっとしゃべってますからね。」
「ホントうるさいよね。」
「俺閉じ込めたら校長室まで聞こえる声で騒ぎますよ!」
そんなふうに廊下の突当りまでわーわーしゃべっていた彼らは何かの拍子に歌い始める。
さっきまで歌っていた「カサブタ」という曲だ。
5人の男子が本当に大きな声でハモって歌いながら階段を駆け下りて行く、
踊り場を駆け抜ける、
跳ぶように1階に着地する、
その声は日の暮れた第三教棟に響き渡って、
生徒会室から生徒会長と書記長が飛び出して来る。
「ごめんごめん。うるさかった?」
謝ったけど、
どうして彼らが飛び出して来たのか本当はわかっていた。
彼らも笑っている。
この声を、
この声で歌うやつらを、
そのままにはしておけないだろう。
一緒にいて、
肩を組んで、
何かしなくてはいられないだろう。
そんな特別な集団なんだ。
そんなこと、
知っていたつもりだったけど、
本当のところは今日まで気づいてなかったかもしれないな。