曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

私の知らないヤンキー。

一昨日東京に行ってヤンキーの舞台を観た。
幕明けに7、8人の若い兵士が談笑していた。
私の知らない東京の街で私の知らない彼らに混じって、
あまりにもよく知っている人間が舞台上で一緒に笑っているのだった。
不思議な気持ちだった。
そしてこの兵士たちの中で彼のその後だけが観客に追われるのだから。(主役とはそういうことだ。)
とても不思議な気持ちだった。
あの子を主役に何本の芝居を打っただろう。
舞台の上で彼がしゃべるのをどれほど見つめてきただろう。
だけど私の知らないセリフをしゃべる彼を見るのは初めてだった。
私でない誰かが彼にこの役をやらせたいと思ったのだ。
それは不思議なことだけどとてもありがたいことだ。
そして当然のようにあの分量のセリフを覚えて舞台に立つ。
芝居が終わったロビーで誰彼に頭を下げ、
すぐまた次のオーディションを受けるという。
逃げようのない芝居という世界で生きていくんだな。
本当に不思議な生き物を見るような気持ちだった。
2016年も2月が終わる。
これだけは書いておかなければと思っていたことだって、
書かないでしばらく経てばやはりただの日常の一コマに過ぎなかったとわかる。日々わかる。
だけどこれは、書いておこうね。