曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

県大会まとまらない報告。

この県大会ほど幸せだったことはいったい今まであったのだろうかと思った、
そんな三日間でした。

リハーサル室で本番を待つ間、
彼女らはバレエ・バーに足を乗せてダンサーの真似事をしたり、
それぞれの後ろに立ってマフラーをリボン結びにしたり、
ピアノを弾いたり歌ったり、
ピアノの引き真似ギターの引き真似、
あと、けっこう真剣な腕相撲大会、
それはそれは仲良く朗らかに騒いでいました。

私と越智君は部屋の隅で爆笑しながらそれを見ていました。
やるべきことをすべてやったので、
たわいないことをして本番を迎えるのです。

上演後の反省会ではみんなが泣きました。
私たちの上演は初日だったので結果は翌日までわかりません。
けれどもその出来は考えられる最高のものだった、
それがわかるからみんな泣くのです。
最後に私も言いました。
「1位になるとかどうとかはもう関係ないと思っています。
 限りある時間を精一杯練習して、
 今日このような芝居をすることができた、
 そのことが最高の栄誉です。
 今日はゆっくり休んでください。そして、よい夢を見てください。」

これまでほとんどの県大会を抜けてきた、けれどもこれほど嬉しかったことはない。
私は東予大会が終わった後生徒に言った、
「この芝居は全国に行ける芝居です、
 しかし県大会を抜けられないかもしれません。」
そうして、私がどうしてそう思うのかを説明した。
「努力しよう。いつ終わっても『精一杯やった』と言える練習にしよう。」 
それを聞く彼女らの目は真剣で、泣いているようにも見えた。
私も自分で自分の言葉に胃の腑がすとんと重くなった。
あれからどれほど自分を鼓舞して練習してきただろう。

今朝、廊下を歩く演劇部員を見かけた。
私たちは目に見えないなにものか価値のある宝物を抱いて今日の日を過ごす。
私たちが集まって創り出そうとしたときにだけ現出する、目に見えないすばらしい宝物を。
私たちは背筋を伸ばす。
私たちは何事にも耐える。
私たちはすっくと生きていく。