曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

四国大会は2位でした。

みんなが千羽鶴に手を合わせているとき、
その後ろ姿を見ながら、
実は私もお願い事をしていたのだ。
「みんなの実力を発揮させてください。」と。
ただそれだけでいい。
そうすれば恐ろしいほどの芝居が実現するのだからと。

数日前に「大変なことが起きてしまった」と書いた、
それは記念館でのその日の通しがあり得ない芝居であったことを書いたのだった。
その芝居は「私が今まで観た芝居の中で最も素晴らしい芝居」だった。
観客は部員のみ、
しかも彼女らは毎日毎日さんざんこの芝居を観て来ている、
記念館の会議室、
段差もない舞台、
照明は蛍光灯、
けれどもその芝居はしびれるよう芝居だった。
爆笑し続け、
中盤から胸がいっぱいになり、
ラストはきれいな涙があふれた。
幕切れの音響が終わると部員は放心したように拍手を始め、
その拍手は鳴り止まなかった。
舞台に残った二人のキャストに、
私たちはいつまでも拍手を送り続けた。
こんな芝居を大会で観せられたらもう審査なんてどうでもいい。
そして観た人はおそらくそれを幸せに思うだろう。
観る人のためにも本物の「花柄マリー」を上演したい、
それはもう「公共の福祉」のような気持ちで、
私はそれを願ったのだった。

しかしそれは叶わなかった。
現実は文学のふるさとである。
努力は報われるとは限らない。
そんなことはずっと前から知り過ぎるほど知っていた。
けれどもむごい、
この脚本、この人材、そしてこれほどの努力、
どうして空回りしてしまったのか。
後何年後にこれほどの条件がそろうというのか。
初日に上演が終わると私は部員を集めて言った。
みんなよく頑張った、しかし観客と一つになることはできなかった、入賞はできないでしょう、と。

だから「2位」の発表を、
生徒はどれほど喜んだか。
私も「ヤッター!!」と叫んでしまった。
そして不覚にも泣いてしまった。
全国優勝したときだって泣いたりしなかったのに。
彼女らの努力に少しでも報いてやれたことがうれしい。
ラッキーの2位だった。
2位は春のフェスティバルに出られる。
今度こそ実力を出し切った舞台を創る。
夏の全国に出せなかったのは残念だが、きっとそういう運命だったのだろう。