越智くん推奨で「青い山脈」を観た。
今回観たこの「吉永小百合バージョン」は1963年の作品だが、
オリジナルの「原節子バージョン」は1948年のものだ。
時代背景は少し変えてあるらしいが有名なその歌も含めてこの映画の持つ空気はまさに1948年の方、
「終戦直後」のものであると感じた。
「♪若く明るい歌声に雪崩は消える花も咲く」という短調でありながら明るくてしかたのないこの歌を聴いていると、
「♪赤いリンゴにくちびる寄せて」という「リンゴの唄」と大変よく似ているなと思う。
「リンゴの唄」は終戦直後になぜかいきなり日本中に流れてきたのらしくてそんなことを私は母から聞いたのだった。
母はこの歌を聴いたとき「ああ自由がやって来たんだなと強く思った」のだそうだ。
「でも別に恋人のことを歌っているのでもなくてただのリンゴの歌なのに?」と子どもの私は思ったし母に聞きもしたけれど母が何と答えたかは覚えていない。
しかし今考えるとただリンゴを食べようとしている歌ではなくて、
「くちびる寄せて」とはなんと奔放な、放埓な、なんと戦時下とはかけ離れた空に抜けて行くような自由を歌っていることかと思う。
「青い山脈」の3番には、
「♪父も夢見た母も見た旅路の果てのその果ての青い山脈」とある。
父も夢見た、母も夢見た、
今まで見ることを許されなかった夢、自由、青春の山々に向かってこれから駆け上がっていく若者たちを歌っている。
明るくて泣けてくる。
彼らの本当の青春が始まった頃の歌なんだ。
私の「青春が始まった歌」はですね、
サザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」ですよ。
みなさまの歌は何かしら。