職員室と3年生の教室はともに本館にあるので、
廊下で見かけるのは3年生が多い。
私は今の3年生を1年生のとき教えていて、
しかもまだ正規教員だったので受け持ちクラスも多く、
だから今年は知った顔たちがうろうろと廊下にいるわけである。
普通教員は学年を持ちあがることが多いので3年間顔を突き合わせていればその成長に気づくことも少ないだろうが、
何分私が彼らを教えたのは2年も前であるし彼らは成長著しい年ごろではあるし、
特に男子などは別人かと思うほど身長が伸びている者もいる、
女子は美しくなり男子はおっさんになり(ウソ)、
少年少女から大人びた顔立ちにすっかり成長した彼らに、
今年という今年私がこんなにも驚くのには特別な事情もある、
そう、
私は彼らのマスクを取った顔を見たことがなかったわけである。
そうか。
マスクの下で君たちはこんな顔をしていたんだな。
気配がする。
1年生のとき教室にいた彼ら彼女らの、気配がして、それで初めてこの顔は彼ら彼女らの顔なのだと気づく。
これは今年各所で似たような手順が踏まれているんだろうなとつくづく思う。