曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

とうとうエリスが!

3年私立文系クラス、最後の授業。
とうとう鷗外の「舞姫」を終わらせることができた。
ふーあぶないあぶない。
すんでのところで終わらないまま卒業させるところだった。

最後の方は時間もなくて、
読むのは全部私だったんだけど、
読みながら泣きそうになってしまう。
鷗外は自分の墓に「石見人森林太郎の墓」以外は書いてくれるなと言い残して死んでいる。
地位とか名誉とか、そんなものは死ぬときには無価値だったんだろう、
思い返せば若き日のエリスとの愛だけが幸せだったんだろう、
なんて感傷的に読んでしまって。

放課後、学級日誌を読んでいた担任の先生から声をかけられた。
「エリス、どうなったんですか?」
「何か書いてます?」
「3限目、『とうとうエリスが。』って。」

舞姫」は現代文で扱うんだけど文章は「擬古文」。
最初の時間に読んだだけでは内容がわからなかった半数以上の生徒たちも、
「最終回」が近づくにつれてどんどん惹き込まれていくようだった。
授業の最後に次の段落の「口語訳」を配るのだが、
次第に食い入るように読む生徒の数が増えていった。
物語の力だ。
今日は最終回。
「とうとうエリスが」発狂して、みんな悲痛な面持ちで座っていた。

そう言えば最後の授業だったけど挨拶もせず物語を終えることに精一杯だった。
みんな元気でね。
たまには本も読んでね。