曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

優秀校東京公演 川之江高校演劇部紹介 (H12.8.国立劇場パンフレット掲載)

 一年近く上演してきたこの『ホット・チョコレート』も、今日が最後の上演となります。まさか国立劇場で有終の美を飾ることができようとは、夢にも思っていませんでした。
 
 四国大会で最優秀賞をいただいた時とは、まるっきりメンバーが違います。年度が変わって、キャスト6人のうち、主人公のミオ以外、5人が入れ替わったからです。

 ミオを包んでくれた先輩部員たちの卒業はあまりにも手痛く、残された部員たちも、顧問である私も、しばらくは呆然と立ち尽くしていました。 
 
 だけど、いつからだろう。練習に笑い声が戻って来ました。いや、その声は、絶えたことはなかったのかもしれない。いつの間にか、ミオのそばには後輩たちがいたのです。

 すごくおもしろいことをまじめな顔で話しているかと思うと、ほんのつまらないことで肩をたたき合って大笑いしている。その姿は、二度と戻ることはないと思ったあの頃のミオと先輩たちの姿と同じで、私はめまいすら覚えます。

 人生のほんの一時期の彼女らの泣き笑いを、一つの作品として焼きつけたい。彼女らの笑い声の中で、私はいつもそう思います。多分彼女らは気づいてない。自分たちの輝きにも悲しさにさえも。青春は寂しい。いつか本当の恋人に抱きしめられるまで、この寂しさには一人で耐えるしかないのでしょうけれど。