初舞台で主役を務める１年のＫ（男）は、
主役なのでセリフも多いしいろんな演技を要求されるわけだが、
泣き言は言いながらもけっこう達者にこなしていたので初舞台であることをこちらも忘れたりしていた東予大会前夜、
２年の部長Ｋ（女）との二人のシーンがかみ合わず、
演出の私が手を叩いて芝居を止めたところで部長のＫ（女）が笑い出した。
笑い出されてうろたえたＫ、
なぜ笑われているのかがわからない。
部長のＫが笑いながら言った。「私まだ肩って言ってないのに。」
つまりこうだ。
部長が「最近調子どう？」と聞き、その後で「肩とか。」と聞くのだが、
彼女がまだ「肩」という単語を言う前に、
彼は自分の肩に触ってしまっていたのである。
「Ｋ、それが『相手のセリフを聞いてない』ってことだ。『ライブする感覚』を持ってないから時々セリフも歌うんだよ。」
たたみかけるように私にも言われ、
軽くパニックになったＫ（男）、
それから部長のセリフを聞こうとするあまり、
自分のセリフがばんばん抜けて、
しばらく真っ白になってしまった。
ということが東予大会前日に起こっていたのですよ。
本番はなんとかセリフも抜けず、
まずはめでたしめでたしというところ。
