曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

ハードル。

1年Dは真面目な好青年だが、
さわやかな顔で恐ろしいほど滑舌が悪い。
だから学級閉鎖でこれから一週間来れないとわかった10月末のあの日、
記念館を去るDに「滑舌をなんとかしといてね。」と声をかけたのだった。
Dはさわやかに振り向いて、
「わかりました。滑舌という名のハードルを越えて来ます。」と言い残して去って行った。(彼はこの後学級閉鎖で一週間、明けた翌日から新型インフルで一週間、計二週間記念館から姿を消すことになるのだが、幸いなことに人には未来がわかりません。)
実際彼は努力家で、
常に家でずいぶん練習してくるのだが、
この「滑舌という名のハードル」という言い分が(さわやかなだけに)おかしくて、
しばらく一部で「ハードル」という言葉が流行した。

さて県大会前夜(だったか当日早朝だったのか)、
何分練習が足りてないので主役2人のセリフを再度確認、
終わったところで1年Kが私に言った。
「先生、悪いとこあったら言ってください!」
「うーん、いいんじゃないかなあ。」
「そんなこと言わずに、言ってほしいんですよ、直しますから!」
「うーん、そうねえ。」
「どんな高い『ハードル』でも!オレは越えてみせますから!」
「じゃあねえ、」
「ハイ!」
「部活以外でおしゃべりして喉つぶすのとかやめてくれる?」
「ああ『ハードル』が高すぎる…。」

まあこんなふうに使うんですね。
K、一瞬でくずおれてました。(このハイテンションで誰彼かまわずしゃべるからすぐ喉つぶして声嗄れるんでしょうね。)