曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

久しぶりに越智君と話した。

図書部会が私立図書館児童書前の会議室で行われたので、
昨日はその合間に絵本を2冊パラパラとめくった。
どちらもムーミンシリーズでゆっくり読みたかったんだけれども状況が状況だったので。
一つは「ムーミンの宝物」、
もう一つは「スザンナのめがね」というようなタイトルでした。
ムーミンシリーズで私が気になるのは、
それが本当にトーベ・ヤンソン作のストーリーなのか、
それともキャラクターを使って他の人が作ったストーリーなのかということです。
 
「宝物」はいいお話で、
ムーミンが自分だけの宝物を探しに行くんだけれども、
他人へのプレゼントばかり見つけているうちに日が暮れて迷子になってしまう。
そこでみんなが探しに来てムーミンママが言う。
「あなたはすでに他人への思いやりという宝物を持っていますよ。」と。
私はここで一応泣いてしまう人間なんですけれども、それでも違う、これは誰か(多分日本人)が作った話だ、と思う、案の定裏表紙に小さく一行、そんなことが書いてあるわけです。
 
「スザンナ」は(タイトルとか内容とか違っていたらすみません本当に時間がなかったんです)、
スザンナという小さな女の子がいて世界なんか壊れてしまえばいいと思っている、
で、なにかめがねをかけると世界が壊れていく、
そこで次々とムーミン谷の仲間たちに出会うんだけど、
そのみんなの目の前でまさに世界が壊れていく、
というか何か考えられないそら恐ろしいような色や形になっていく、
(挿し絵は何か薄紫の谷のようでした)、
その時スザンナが叫びます、
「まあなんて恐ろしい、そしてなんてすてき!」
ここで私は思う、ああこれは絶対にヤンソンの作品だ。
 
「恐ろしいけどすてきだと思う、別れは本当に悲しいけれど少しほっとする、そういうことを書けるってことが本物ってことなんだと思う。」と越智に話すと、
「そういうことは物語ならなんとか僕らにもわかりますけど、多分他の分野なら見逃すんでしょうね、陶芸とか。」
「ああね、形は整っているけど、みたいなね、そう言われても、整ってなさのよさとかわからんもんね。」
そしてそういうことがなんとかわかるということと、
そういう物語なり器なりを生み出してしまうということの間には、
またなんと大きな距離があるんだろうかとも思う。
まあ距離がありすぎるので凹みもせずに書いてみました。