曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

テレビの部屋の住人のテレビ。

テレビの部屋の住人のテレビはアナログのままだ。
「地デジ化しないの?」と何度か聞いたけど、
「2011年の7月には生きてないよ。」
とそのたびに答えていた。
 
2012年の3月に今のケイタイが使えなくなるとドコモから通知が来たときは、
「2012年。」
と言って笑っていた。
 
いろんな問題が山積していた頃で、
「ああ、葬式のことを考えると今から頭が痛いよ。」
と真剣につぶやいたこともあった。そうして公正遺言を遺した。
 
気管支切開をして生き延びる道もあった。
けれど医者から何度尋ね返されても一度も頷くことはなかった。
「僕は今まで十分頑張って来たと思う。」
私にそう言った。
 
本当にそうだった。
死を見据えて生きるのはいったいどんな気持ちだったか。
できるだけのことをしたと思おうとしても思おうとしても、
もっと優しくできたのにというところに戻る。