曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

犬猫の非凡。

「そこはもっと抑えて」と越智君が言うとき、
「犬」役は、まさにそうあってほしいという抑え方をして演じ直す。
「そうじゃない」と言ったとき、
「そう」以外の99パーセントの中からやみくもに選ぶのでなく、
もう一つの演じ方の可能性を、彼女はスパンと出してみせる。
そのあり方を凡庸でないと思う。

台本を読んだとき、セリフの言い方は自ずと知れるが、
それを役者に説明するのは至難の技だ。
ところが「猫」は、最初からまさにそうあってほしいという言い方で話す。
「こんなふうだ」と言って真似させるのでない、
「こんな感情だ」と言って追体験させるのでない、
彼女は文字から直ちに音に変えられるのだ。
そのあり方を今までになかったと感じる。

万事がそれだ。
あっと言う間に演出が通るのだ。
練習後に越智君と驚嘆し、戒め合う。
忘れないようにしよう。
彼女らがまだ高校生に過ぎないことを。
丁寧に彼女らの練習につき合おうと誓い合う。