曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

今ごろになって。

あの人がもういないということについてはむしろ深く認識していると思う。
けれども父親の死については、
実は私はまだよくわかっていないのではないか。
 
ぼんやりと家について考えるとき、
母がいて、
妹がいて、
兄もいて、
そしてその後ろに何か大きい穏やかな人が、
しかし静かで絶対的な主導権を持っているらしき人の存在が、
なんだかいつもぽわんと頭の中にある。
何だろう、誰のことだろう、ああ、父だ、
そうだ、父は、そうか、もういないのだった、
ここまで行かないと合点がいかない。
 
あまりに同時期に亡くなってしまって、
私は父親が日々弱っていく様子も最後のともしびが消えた瞬間も知らない。
そして頭はあの人の死でいっぱいだった。
 
まだあの家に、
父は母と暮らしている気がしている。
そうだといいのに。