曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

顔を上げろよ。立ち止まるなよ。歩けるだけ歩くんだ。

実家に電話すると11回もコールしたところで珍しくも病気の父が出て、
母と妹が花火を見に今出かけたところだと弱った体から大きな声をふりしぼってく話す。
ああそうだ、おおばくさまだねえ、とはるか昔を思い出して答えると、
折しも電話の向こうからはどーんどーんと花火の音が響いて、
おお聞こえるか、と父の声は言う。
最近は、ふと気を抜くと泣いてしまうような場面があんまり多いから、
また胸元をたたいて気持ちを変えて、
電話で花火の音が聞けてよかった、と言うと、父が笑った。
ああこんなに弱った父に会いにも行っていない。
身の周りに絡みつく「死」の影を、
日常として受け入れて日々を過ごす。
もう無理だ、もう無理だと、何度も思う。