曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

主役は練習を支配する。その3、くらい。

土日に練習すると仕事が捗らなくて山積み。
手際の悪さにうんざりする。
だから今日は最初に連絡事項だけして、
実はその後小一時間は抜けさせてもらおうと思って部活に行ったのだった。
行けば授業が終わって10分で視聴覚はもうきれいに机が片づけられていて、
広くなったその空間で主役が二人、
すでに柔軟を始めていた。
「柔軟、始めてまーす。」
がやがやしている下級生にTマが声をかけた。
「早く練習したい。俺たちには時間がない。」とTマがS川に話す。
彼らは2週間後の演劇祭で引退する。
「俺ねえもう少しくらい寿命が縮んでもいいからさあ今時間がほしい。」
「やめなさい、そんなこと、寿命が縮んでもなんて。」
とたしなめたけど、
少しでも早く練習したくてあっと言う間にここを片づけたんだろう。
長机をたたんで両脇にパイプ椅子をわんさか抱えて移動させて、
そして柔軟を始めたんだろう。
人生の中のこの時間をそんなに大切に思っている人間がこの場にいる。
だから私はとどまって練習に参加してしまうし、
下級生も速やかに穏やかに集まって柔軟を始めてしまうんだろう。
主役は芝居を支配しそしてまた練習も支配する。
その切実な前向きな意志がみんなの心に広がっていく。
そんな場にいられることを幸せと思うんだ。