曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

打ちのめされるようなすごい本。

前述の「打ちのめされるようなすごい本」は、
週刊文春」に「読書日記」として連載されていたもので、
文字通り「日記」形式をとっている。
2003年まで読み進んだところで筆者が癌を宣告された。

米原万里さんが癌で亡くなったことを知っていたのに、
いや、知っていたからだ、私はうろたえてしまった。
この旺盛な読書欲や知識を携えた永遠に続きそうなその日常のまま、筆者は死に突入するのか。
内容に気を取られ、彼女が亡くなったことがその文章と地続きであることに、それまで思い至らなかったのだ。おおばか者だ私は。

私はそわそわして記事の日付を見始めた。
なんと、癌告知は本校来校のたったひと月後のことだった。
それからも「すごい」書評は続く。
選ぶ書籍が癌関係になり、それすらも前向きな乾いた調子で綴り、記事は2006年5月でとぎれた。