曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

石原哲也先生へのオマージュ。

そもそも「ホット・チョコレート」からしてが「俺たちの甲子園」のオマージュだ。

平成6年、

私が「俺たちの甲子園」から受けた衝撃の大きさは計り知れない。

日常に存在する悲劇を目の前に出現させることのなんという残酷さ新鮮さ、

果たしてこんなところに触っていいものかとも思い、

また私だけが感じていた「不条理らしきもの」はこうして舞台で万人の共感する「存在するもの」であったのかと驚きに驚いた。

数年後、

自分が芝居を創らなければならなくなったとき、

はるか手の届かないあまりに達者なあの男子生徒たちを目の前の女子生徒に置き換えて創ったのだ。

「ベンチ入りできない」絶望を表すのに「失恋」だけでは足りなくて、

「親友の転校」や「進路不実現」「卒業の別れ」等を足したのだ。

「俺たちの甲子園」はそれほどに私にとって特別だった。

当時生徒だった越智も同じ思いだったようで、

彼はあの芝居の「全セリフ」を「完コピ」していた。間も含めて全部。

 

全国大会であの芝居を観た1か月後の地区大会、

私たちは石原先生の「それぞれに如月」を選んだ。

これは「俺たちの甲子園」の前身とも言える作品で、

「何があっても一緒に卒業しよう」と誓い合った主人公たちは、

卒業試験に合格できそうにない友人をカンニングで助けようとするが、

彼はそれを断り、最後に交通事故で死んでしまう。

今思い出しても胸が詰まる。

青春ってなんて輝いていてなんて哀しいんだろうと思う。

私と越智が最初に大会に出た作品が「それぞれに如月」だったのである。

 

「きょうは塾に行くふりをして」の劇中劇は、

もちろんこの「それぞれに如月」のオマージュだ。

何分越智が書いたのでふざけすぎなのですが、

愛ゆえなんです。本当にすみません。

(青春舞台2022のインタビューで越智はちょっと謝っていたけれどカットされているかもしれません。)

 

さてこんなふうに、

舞台上の赤い「鳥居」に「大明神様」と柏手を打つのは「俺たちの甲子園」の、

そこに集まってカンニングの算段をするのは「それぞれに如月」の、

二つの石原作品へのリスペクトがあって「きょうは塾に行くふりをして」は出来ました。

その作品が青春舞台で放映されることは本当に感慨深い。

現在はわからないが、

石原先生は2007年ほどにお会いしたときは携帯すら持たないのだとおっしゃって、

ネットもされてなかったと思う。

Eテレを観てくださるだろうか。

 

青春舞台 2022 - NHK