人間は二種類に分けられる、
『カラマーゾフの兄弟』を読んだ人間と読んでいない人間だ、
とは誰が言ったのだったのか。
(私は越智から聞きました。)
私は大人になってから初めて読んで、
読み始めたら面白くて夢中になったことを覚えています。
しかし大人の悲しさ、
後半まさにクライマックス、
その途中で無念にもゴハンを作る時間になってしまい、
頭はカラマーゾフのまま料理をしていたところ、
なんと、わかってしまったのです! (父親殺しの犯人が!)
フライパンを振りながら、
ああこの人以外考えられないじゃないか! と!
(しかも残念なことに当たっていた。)
筒井康隆だかも言っていた。
長い芝居にインターミッションとかあると、
休憩の間に筋が読めて結末がわかってしまうことがあると。
その現象が私の場合、
『カラマーゾフの兄弟』という一世一代のエンターテインメント堪能時に起こってしまったわけなんですね。
以来これは「カラマーゾフ現象」と呼びならわされ(ウソ)、
現在映画のDVDを二、三夜に分けて鑑賞し続けるという私の文化的習慣の中で、
今もしばしば起こり続けている悲劇です。
(推理はたまに外れます。)