授業から帰って来ると、
今年1年隣の席だったM子先生(40代)が「お疲れさまでした」と声をかけてくれる。
「やー死にましたねー。」
と、荷物を机に置きながら私。『木曽の最期』は1年最後の定番である。木曽義仲が死ぬのである。
「あ、もう死にましたか?」
「ハイ、今年も死にました。」
「今年も死にましたか、あはははは。」
何度教えて来ても新たに死ぬ。
毎年初めて読む生徒の前で義仲と兼平は死ぬ。
そして私は毎年新たにダメージを受けるのである。
名作の名作たるゆえんである。
それにしてもこの1年間大変気持ちよく過ごさせてくれた、
仕事のできる、思いやりのある、M子先生には本当に感謝してます。