曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

理系男子は私には理解不能ですよ。

国立理系クラス。
ここでも漱石の「こころ」を教える。
理系男子は成績の良し悪しに関わらず小説読解を苦にする者が多い。
恋愛小説については特に。

「『K』の『理想』としていた生き方は『道のためにはすべてを犠牲にすべき』でしたが、それでは男女関係についてはどこまで犠牲にすべきだったのでしょうか。(これは国立クラスには簡単な問題なのです。)ハイ、F君。」
「・・・わかりません。」
「書いてありますよ、よく読んでみなさい。(正解は『欲を離れた恋そのものも道の妨げになる』です。)」
「あ、『離れた恋そのもの』?」
「『離れた恋』? そりゃ遠距離恋愛のことですか? 違うでしょう!?」
つい語気が強くなる私。
「・・・わかりません。」
「『欲を離れた恋』ですよ! ではここで言う『欲』とは『何欲』のことでしたか?」
「・・・わかりません。」
「さっきS君が答えたじゃないですか! 『肉欲』、『性欲』のことだったでしょう!? だから『欲を離れた恋そのもの』がダメってことは、『K』は何をしてはいけなかったの?」
「・・・さわる・・・?」
「さわっちゃもちろんダメです!!」

普段ものすごく静かなクラスなのだけれども、
たまらず女子がクスクス笑った。
それでも男子は黙っている。
放課後担任から、
「先生、4限目、うちのクラスで何があったんですか?」と聞かれた。
学級日誌を見せてもらうと、女子が感想を書き込んでいた。
「今日、現代文の時間に、先生がプラトニックラブについて熱く語ろうとしていたところ、とある男子が少しハレンチな発言をしてしまい、先生は怒りましたが、本人は全くわかっていなかったようでした。とてもおもしろかったです。本日、初の笑いでした。」
4限授業だったんだけどね。