曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

違う世界の人たち。

気が滅入っていながら元気のいい授業をして昼休みに職員室に帰ってくると、
国立理系クラスの男子が5、6人、私の机の前で気をつけして待っていた。

「追試か。」
「先生、遅い遅い。」
「食べてから来いよ。」
「食べたら忘れる。はよして先生。オレ『きりちゃん』ね。」
「オレ『わかちゃん』。」
「オレ『きりちゃんわかちゃん』。せんせはよはよ。」

最初何のことやらわからなかったが、どうやら「きりちゃん」とは「桐壺」、「わかちゃん」とは「若紫」の追試のことであるらしい。
追試を先延ばしにするなと昨日厳しく叱った結果、みんなで受けに来たのであろう。
しかし彼らの屈託のなさ、
自分の不幸に(あんまり)気づかぬその才能、
理系の男子は私とは違う世界の住人だ。

「追試隊」は、他教科でもたいがい追試に呼ばれている。
彼らの未来と受験に幸あれ。