曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

着飾るということ。

「こやって、背中に『朱雀』いうて書いてあってな、バリかっこええんぞ。」
授業前、3年生私立文系の教室。
なんの話をしているのかと思ったら、
どうも祭りの衣装のことらしい。
(いや体育祭の応援かな?)
ストイックに練習を続ける運動部の彼らも、
あんな衣装に身を包みたいものなんだな、
と思いながら教卓につく。

祭りの日の成人男子は、
うまい物食べて酒も飲んで、
普段は派手すぎてとても着られないような衣装を嬉しげに着て、
この日ばかりは労働も免除されて朝から晩までクダ巻いて大声上げて大のご機嫌だ。
(この地域の祭りの衣装は、暴走族の衣装と少しテイストが似ているように思う。)

放課後には小会議室で、
発足したばかりの「郷土芸能同好会」が、
他校の和太鼓の演技をDVDで研究していた。
顧問がその衣装を説明している。
「ここは黒で統一しとる、ここは法被、ここは短パン。」
生徒は一様に黒い衣装の演技で憧れのため息を漏らす。

派手な衣装に憧れる気持ちはわからんでもないが、
それを着たいと思っていることを人に知られて平気だというありようは、よくわからない。
(それは人前で化粧をする人の気持ちがわからないこととも似ている。)
うちの演劇部なんて地味な衣装しか着ないし、
自分が美しく着飾って目立ちたいという生徒は、案外演劇部以外に多いのかもしれない。
(いや、うちの部員も着たいけど着させてないだけかな。)