曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

おかげさまで定年退職の年に演劇部が全国最優秀賞を受賞しました。(「シアターねこ」への寄稿その1)

 演劇部は四国大会で優勝しなければ全国大会に出られない。他の部は県を抜けたらすぐに全国だから、言ってみれば演劇部の四国出場は他の部の全国出場に匹敵するくらい困難なことだと私は思っている。その困難なミッションを、考えてみれば私は24年連続27回果たし続けてきたわけだ。

 

 これだけの長い間あるレベル以上の芝居を創り続けることのその喜びと苦しみは、一度でも芝居を創ったことのある人間であれば容易に想像がつくと思う。特に高校演劇の場合何が苦しいと言って、ゼロから芝居が生まれ希望を胸に生徒とともに未知の世界へ旅に出る、その途中でほぼ100%、バッサリと、あまりにもバッサリと全否定される日が来ることだ。「高校野球」で最後まで泣かないのは全国でたった1校だと聞くだろう。1校以外はいつか泣く。私たちは四半世紀もの間ほぼ毎年、四国大会であるいは全国大会で、この身の千切れる苦しみを味わい続けてきたのである。この苦しみが苦しくて、何人の演劇を愛する仲間が脱落して行ったかわからない。

 

 全国大会で3度だけ優勝したことがある。ただ3度だけ、最後まで生徒たちと笑うことができた。00年「ホット・チョコレート」、01年「七人の部長」、そして本年度22年「きょうは塾に行くふりをして」。生徒が笑っているのを見るのが好きだ。けれどもなにか生徒の涙ばかりを覚えている。                 2023.1.シアターねこ新聞