曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

半径1メートル以上のヒト。

先日とっぷり日も暮れた頃に帰ろうとして、
駐車場にさしかかったとき、
向こうから背の高い男性が歩いて来た。

軽トラに、ぶん、と何か荷物を載せて綱を張ろうとしているようなので、
これは教員ではないな、係わり合いにならないようにしよう、
と決めて足早に車に向かうと、
私に背を向けたまま、
「○○ちゃん(私の名前)、さようなら。」
と若い声が挨拶する。
「誰?」
「○○ですよ。」
「マジで!?」
「マジですよ。」
なんと、四年前、最後に担任を持ったクラスの委員長だった。

野球部の手伝いに来ていたのだろう。
在学中は副主将をしていた。
国立大学に入れたかったのに、発展途上国のために尽くしたいとか言って、
ネ○ダカリフォルニア大学とやらに行ってしまった。
数年前、記念館に訪ねて来て、
「行き先はイギリスにしようと思うんです。」
と言った。
アメリカじゃなくて?」
「先生、今はアメリカの大学にいるなんて言うと、行く先々で『いやあね。』って思われるんですよ。アメリカは自分の国のことしか考えてない。」
「あ、そうなの?」
彼が帰った後の記念館には、誰だ誰だと、コップの中の嵐が起きた。
体格もいいし声もいいし顔も精悍だしスポーツマンだし、
まあ、どこ(の国)に出しても恥ずかしくない青年なんで。

「今何やってんの?」
「何って、大学行ってますよ。」
「あ、そうか。英語とかしゃべってんだ?」
「英語、しゃべらなきゃあ。」
と、笑った。

顔も見えないままだったけど、会えてよかった。
無事で、幸せで、生きがいを持って働ける人間になってほしいなあ。彼の望んだとおり。