曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

歯医者待合室。

父親に連れられた小さい兄弟がいて、
絵本の取り合いなどをして騒いでいたのを、
何度か父親が「静かにすわっとれ」とか言うけれど、
様子を見、見、また騒ぐ。

しばらくしてお兄ちゃんが、
「もうええわ、あんぱんマンなんかいらんわ、あんぱんマン、キモイ、キモイ、あんぱんマン。」
と言い始めた。
見ると弟の小さなくつはあんぱんマンの絵柄で、
弟は大変あんぱんマンを好きらしい。
「キモイわ、キモイー、あんぱんマン。俺はー、カレーパンマンが好きー。」
私はホントに噴き出しかけた。

父親のケータイが鳴って、
「もしもし」と言いながらドアの外に出て行くのを、
二人は不安そうに見送っていたが、
ついにお兄ちゃんが「行くぞ!」と正義の味方のように立ち上がった。
お兄ちゃんは駆け出して行ったけれどガラスのドアが重くてなかなか開かない。
やっと開いてそれが閉まり切らないうちに弟が急いでその隙間をすり抜けて、
遠く駐車場で電話をしている父親のところまで一目散に駆けて行く、途中でお兄ちゃんがすってーんとアスファルトに転んでいた。
追いかける弟もおなじ場所でかなり体勢を崩したが持ち直して走って行った。段差があったんだな。

いつか待合室は親子と私だけになってしまって、
兄弟がこっちに寄って来る。
まっすぐ私を見てニコニコと笑う。、
弟が私の読んでいる雑誌の「目玉焼き」のイラストを指差して、
また私の顔を見てにっこりする。
父親が今度こそ怒って、
「すわっとらんとしばくぞ」と引き連れて席に戻ったけど、
しばらくするとまた寄って来る。
弟が「目玉焼き」のところをトントンと叩いてまた私を見ていた。

それはそうと1年生がまた二人入部してきた。
そろそろ誰か辞めると思っていたのになぜ入る。