曽我部マコトの言わせていただきます!

そんなに言いませんけど。

卒業式前々日の職員室。

「卒業式当日は弁当を持って来るように。」
と各クラスに伝えたところで、
「例のバンド」がライブに来るのではないかという噂が生徒の一部で立ち始めた。
卒業式の日は半ドンと決まっているのでそりゃ不自然は不自然である。
「百周年の行事があるから。」
とは言ったのだが、
ラジオで「あなたの学校に行くかも!」と聞いていたファンの生徒が火のように質問してきたらしい。

職員室では困ったことだと先生方が頭を抱えていた。
「せっかくのサプライズなのにねえ。」
「こんなことなら弁当食べさせずにライブってことにすればよかったですかねえ。」
「それもかわいそうですしねえ。」
「聞かれたらなんて答えますかねえ。」
さてそこで「話の面白いM先生」が真剣な顔で切り出した。
「もう、言ってしまいますか。今日。これから。」
「え、言っちゃマズイでしょう。」
するとM先生、声を作って、
「『君たち、今まで黙っていて悪かった。気づいてしまったのなら仕方がない。黙っておこうと思ったんだが、百周年を記念して、卒業式の午後は、加戸知事が来る。』」
これにはみんな大爆笑。
「なんで加戸知事なんですか。」
「それいい、M先生。でも私にはとてもうまく言えません。」
「M先生が各クラス回って言ってくれませんか?」
「私がですか?(とまた声を作って)『卒業式の午後は、加戸知事が来る。』」
で、またみんな大爆笑。

当日は気づいていた一部の生徒も噂を広めることなく、
ほとんどの生徒がサプライズを楽しんでくれました。
しかし職員室はこんな感じで初めての体験に右往左往してたんですね。