国立劇場のリハーサルでは指示する人は学校で一人と決まっていてそれは私なんだけど、
私たちはずっと舞台監督(生徒)が指示を出しては私がそれにアレコレ言うという形を取っていて、
そこに音響(生徒)、照明(生徒)もそれぞれ同時進行でいろいろ決めては時々私に声をかけて色や音量を決定する、みたいな形になっているわけです。
で、それをバレないようになんとか私だけで進めてるみたいに見せかけてたんだけどやっぱりバレて、
途中I藤先生から「船頭が多いんだよ!!」と怒鳴られました。
まあなんでそんなふうにするかと言うと、
私一人で回していたら計画的に進めようとするアタマと美しく仕上げようとするアタマが両立できなくて進行が滞りがちになるんですよね。何度かそれで痛い目に遭ってるからいつの間にかこうなったんですね。
さてその日の夜に生徒たち、
「国立劇場の先生から『戦闘員が多い』と言われました。そんなに多くないのに。」と言うもんですから私も呆れ果てて、
「船頭だよ!!」って怒鳴ってみんなで笑いました。
さて後日、
それは最終日に上演が終わった後のあの反省会の席でなんですけど、
部長で舞台監督のM上(イッセイ)が、
「謝ることがあります。僕嘘ついてました。ごめんなさい。」
と言うのでなんだよそれーってみんなで突っ込んだんですが、
「僕、『船頭が多いんだよ』って聞こえてました。それで頭に血が上って心臓もバクバクしました。でも脳内で『戦闘員が多い』に変換してやっていこうと思ったんです。」
・・・なんかグウの音も出ませんよね。
そりゃああんなに頭もいいんだし「船頭」知らないなんておかしいっちゃおかしいよね。(聞き間違えたかなって思ったんだ。)
今まで「おとぼけ部長」なんて言ったりして悪かった。
完璧な副部長F田(ミナト)、
明るく優しい副部長の主演女優I田(いぶき)、
そしてこの部長ありだったんだね。
生徒の方がずっと大人なんだよなって思うことは多かったです本当に。